今、渦中の店。「The Modern」レストランのBar roomにいきました。

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こんにちは。NYフードエキスパート、明比 玲子です。

まだ、東京のレストランの話しも残っていますが、今日は、今NYで、渦中の店、「The Modern」の報告です。

どうして渦中なのかというと、ダニー・マイヤーというNYで著名なレストランオーナーが、「自分のお店のチップ制を2016年以内に、全て廃止する」と宣言してから、この店が、チップ制をなくした一号店だからです。

チップ制を廃止した一番の理由は、キッチンで働く人の賃金を上げ、腕のいいシェフを確保するためでした。

そして、昨日、ダニー・マイヤーは、彼がチップ制を廃止すると宣言してから、「「The Modern」では、腕のいいシェフからのキッチンへの応募者が4500%増加した」と話しています。

ダニー・マイヤーは、マンハッタンに11軒の店を持っており、その中の一軒のチップ制廃止を始めただけでこれだけの反響があったのですから、これからがちょっと怖いですね。

もうすでに、腕のいいシェフを確保するのが難しいと言われるレストラン業界。今後、他のレストランで、腕のいいシェフを確保するのが、どんどんと難しくなると思います。

ということで、チップ制がなくなったあと、お客さんは入っているのか?最終的なレストランへの支払額が、どれぐらいなのか?興味があって、見に行ってきました。

まず、「The Modern」の簡単な説明から。ここは、「MoMa」、NY近代美術館の一角にあるレストランです。

美術館の中にもカフェとカフェテリアがありますが、「The Modern」は、美術館とは別に入り口があります。

そして、メインダイニングルームは、美術館の美しいお庭に面していて、コース料理を楽しむ、高級レストラン。

その手前には、Bar roomと言って、カジュアルに、ワインを頼んで、アラカルトでお食事を楽しめます。でも、Bar roomも、結構なお値段がします。

今回は、Bar roomに行ってきました。オープンして以来、久しく来ていないような気がします。

日曜日のランチだったのですが、かなり満員。ミッドタウンの日曜日の昼間は、結構どこの店もあまり人が入らないのですが、少し驚きました。やはり、人気がありますね。

そして、お料理ですが、メニューを見る限り、どれも食べたくなり、選ぶのに苦労しました。サービスもとてもスムーズ。

でも、お料理がきて、ちょっとがっかりしました。メインコースが、どちらも、とっても塩辛かったのです。よっぽど、キッチンに送り返そうかと思ったぐらいです。

私は、気に入らなかったら、時々、キッチンに送り返します。と言っても、自分が気に入らないからではなく、塩辛過ぎるとか、生焼けとか、そういう理由です。

お金を払うのですから、当然のことです。

パンは普通でしたが、バターがすごく美味しくて、不覚にも、パンをいっぱい食べてしまいました。


サラダは、レモン風味のドレッシングが、パルメザンチーズとハーブと調和して、さっぱりしていました。


キングクラブのフリッター。アボカドとライムのソース。揚げ物は、美味しいですね。


問題は、ここから。せっかく楽しみにしていたリゾットの白トリュフかけ。それと、ダックコンフィのラビオリ。両方とも、堪え難いぐらい塩辛かったんです。



いつもだったら、キッチンに送り返したと思いますが、時間もなかったので我慢しました。すっごく、残念でした。

そして、ラビオリは、茹でたりなく、少し固かったので、本当に残念です。


デザートは、洋梨のシャルロットでしたが、最近流行の、”deconstructed”という、オリジナルのデザートや料理と同じ物を使用し、スタイルを崩しているものです。(盛りつけ方が違ったりします)

これも、見た目はいいのですが、何だかちょっと寝ぼけたデザートで、ピントが合っていませんでした。


最後のお待ちかね(?)のお勘定がきました。"The Modern is a non-tipping restaurant. Hospitality included. (モダンは、ノーチップレストランです。ホスピタリティも含まれています)" と、レシートの下に書いてあり、その上で、同じような内容とフィードバックを欲しいと書いた別の紙が入ってきました。



値段自体は、やはり少しだけ高めですね。でも、ワイン、コーヒー、デザートも入っていているので、いつもより30ドルは確実に高いと思いました。(2人分の値段です)

先日読んだ、ある記事では、ノーチップと言っても、どうしてもチップを渡したがるお客さんが多いらしく、逃げるウエイトレスをつかまえ、帰り際に渡して逃げて帰るような人もいるそう。

やっぱり、チップというのは、アメリカのカルチャーでもあるため、お客さんがノーチップ制に慣れるまで、少し時間がかかるのかもしれないです。

料理がいまひとつだったのは、とても残念ですが、ダニー・マイヤーのつくるお店は、やはり居心地がいいです。


そういう意味では、ニューヨーカーは、これからも彼のお店を支持していくでしょう。


そして、もうすでにすごい結果が出ているこのノーチップ制は、彼を見習い、どんどん他のレストランにも広がって行くことと思います。

The Bar room at The Modern
9 W 53rd St,
New York, NY
TEL: 212-333-1220
http://www.themodernnyc.com/#the-bar-room